寄与分とは?
「寄与分(きよぶん)」とは、被相続人(故人)の財産形成・維持に貢献した者に、特別に財産を分与しようとする制度です。
例えば、お父さんと子供3人がいるケースで考えてみます。
長男がお父さんの事業の後を継ぎ、お父さんと共に頑張って事業をしていました。次男と三男は都会に出て働いており、お父さんの事業にはノータッチです。
この場合、どの子供にも3分の1ずつ相続するのは平等といえるでしょうか?
そこで、このような場合は、親と共に財産形成に努力をしてきた長男に対し、寄与分が認められるのです。
寄与分が認められるのは次のような場合です。
@故人の営む事業に関して労務を提供した場合
例:長男として、無給で父の仕事を手伝ってきた
A故人の営む事業に関して財産を提供した場合
例:高額な建設機械などを購入する際に資金を提供した
B生前に故人の病気療養の看護に努めた場合
例:長女が、自分の仕事をやめて入院中の父に付き添った
Cその他、故人の生活費を支出したり、故人の財産を管理するなどして、財産を維持した場合
注意すべきは、「ただ故人の世話をした」というだけでは、寄与分として認められないということです。「妻が夫の病気の看護をした」などという場合は、夫婦の当然の義務ですから、寄与にはあたりません。
また、被相続人(故人)に対する貢献は、無償(タダ)でなくてはなりません。
寄与分をどう計算するか?
寄与分には特別な計算方法はなく、相続人全員による話し合いで決定します。話し合いで決まらないときは、家庭裁判所で調停や審判を行い、額を決めることになります。
相続人全員でよく話し合って、「○○は長男で、お嫁さんといっしょに最後までお父さんの面倒をよくみてくれたから、このくらいもらってもいいんじゃない?」などと、和やかな雰囲気で決められれば一番ですね。